桜田門外ノ変 吉村 昭

吉村昭の『桜田門外ノ変』 安政七年(1860年)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって…

映画「ちはやふる 上の句」

累計1,700万部を超える人気漫画「ちはやふる」を映画化 競技かるた人気 競技かるたを題材とした青春漫画「ちはやふる」(末松由紀)の大ヒットで、日本の伝統文化の競技かるたが有名になり、人気が高まっています。また外国人の競技かるたへの関心も高まって…

「土用の丑の日」と万葉集 起源は1200年前

夏バテに鰻を食べる、は1200年前から 「土用の丑の日に鰻を食べる」が習慣になったのは、江戸時代に平賀源内がひろめたとして知られています。しかし、源内はゆえなく夏にうなぎを食べようと言い出したわけではありません。もともと「夏バテには鰻でスタミナ…

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

人口減少の日本でこれから起きること 少子化は国家を根底から揺るがす「静かなる有事」 日本の喫緊の課題を改めて整理するなら4点に分けられると。1つは、言うまでもなく出生数の減少。2つ目は高齢者の激増。3つ目は勤労世代(20〜64歳)の激減に伴う社…

本を読むときに無意識にしていること

普段、本を読むときに特別に心がけていることなど、あまりないのですが、なにか無意識にいろいろなことをしているようです。以下に思いついたことを箇条書きにしてみました。 ① わからない漢字や用語はその場で調べる 本を読んでいて、読めない漢字や忘れて…

桜の樹の下には 梶井基次郎 

桜の樹の下には屍体が埋まっている!これは信じていいことなんだよ 『桜の樹の下には』 前回の『檸檬』に続いて、今回は『桜の樹の下には』です。わずか4ページの小品ですが、いきなり屍体(したい)が桜の樹の下に埋まっているという、衝撃的なはじまりで…

ふたつめのボールのようなことば。 糸井重里

糸井重里詩的で、哲学的でわかりやすいことば ひとりでもやる 「ひとりでもやる」って開き直ると、別のひとりが集まってくる カッパは待っている じぶんがカッパだとしたらさ川のほとりにしゃがみこんで、なにを待つと思う?カッパだよじぶん以外のカッパを…

日本人なら知っておきたい「古事記と神宮」

格式の高い神社を「神宮」大きな神社を「大社」という 古事記と神宮について 全国に約8万社もある神社の中でも、格式の高い神社を「神宮」といいます。現在、神宮は24ヵ所あり、古事記に登場した神などが祀られています。 ① 伊勢神宮(三重)一般的には、伊…

ボールのようなことば。 糸井重里 

糸井重里の詩的で、哲学的でユニークなことばです ちょっとださい 「かっこいい」ことのなかには微量の悲しさが含まれているような気がします逆に「ちょっとださい」ということのほうに調和的な、満ち足りた美しさがあるんじゃないか 誰かに伝わる じぶんが…

注文の多い料理店 宮沢賢治

理想郷「イーハトーブ」に生きた無名の詩人 宮沢賢治 注文の多い料理店 二人の紳士が山へ猟に入りました。獲物を追ううちに迷ってしまった二人は、レストランを見つけますが ... 短編なので10分もあれば読めます。もちろん大人も子供も楽しめます。この童話…

罪のない者だけが石を投げよ ヨハネによる福音書

あなたたちの中で罪を犯したことのない者がこの女に、まず石を投げなさい 「姦通の女」ヨハネによる福音書第8章3〜11節 聖書の中に、姦通罪で捕らえられた女性をめぐって、主イエスと律法学者たちが対決する場面があります。旧約の律法では、姦通罪は石打ち…

「髪切った?」は、魔法の言葉

「髪切った?」には意味がある いい空気を一瞬でつくる 2013年に発売された『タモリ論』(新潮社)に、タレントのタモリさんが「髪切った?」と聞くのは話すことがないからとあります。でもそこに意味があるという。実はこの言葉には「いい空気をつくる」チ…

文学は必ずしも必要ではない?

いまさらですが文学は人生において必要なものなのでしょうか? 文学は、はたして人生に必要なものなのでしょうか。そのことを検索してみたら、こんな素敵な答えを見つけました。以下に紹介します。 文学は必ずしも必要ではない? いまは亡き、京都大学文学部…

ヴィヨンの妻 太宰 治

燦然と輝く栄光の中で絶望と死を彷徨った悲しき天才 『ヴィヨンの妻』あらすじ 病弱な4歳の息子と、酒を飲んでばかりの夫を待つ「私」。いつも通り、夜中に帰ってきた夫は、珍しく子どもの心配をするなど、妙に優しい。その時、1組の夫婦が家に乗り込んで…

舞姫 森 鴎外 

『舞姫』あらすじ 父を早くに亡くし、母の手で育てられた秀才・太田豊太郎は某省から派遣されベルリンに留学する。そこで、踊り子のエリスと出会い、恋愛へと発展するも、留学生仲間から嫉妬、中傷され免官になる。それを知った母は自殺してしまう。天方大臣…

山月記 中島敦 江守徹の朗読

『山月記』について 山月記は、昭和17年(1942)に発表された中島敦の短編小説です。精緻な文章から今でも高校の国語の教科書などに掲載されることが多いので知名度が高いですね。漢文を書き下ろしたような文章は読むのは難解ですが、聞くと耳に心地よいです…

芥川賞と直木賞の違い

対象となる作品が違います 芥川賞各新聞や同人誌を含む雑誌に発表された純文学短編作品中、最も優秀なものに呈する賞。ちなみに純文学とは、大衆文学や小説一般に対して、商業性よりも「芸術性」「形式」に重きを置いていると見られる小説を総称する、日本文…

年収と読書量は正比例する

「年収と読書量は正比例する」が示唆するもの 時代が大きく変化するいま、どうしたら困窮から抜け出せるのか、あるいはどうしたら人生をより豊かなものにできるのか。「年収と読書量は正比例する」は、その状況を打破するうえで、とても示唆に富んでいるとい…

羅生門 芥川龍之介 近藤サトの朗読が秀逸

下人の行方は、誰も知らない ... 「羅生門」 芥川龍之介 京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を一本一本とひき抜いている老婆を目撃した男が、餓死か盗人になるか、生きのびる道を見つける。そして漆黒…

接待の一流 田崎真也 おもてなしは技術です

いい店を頼むよ ...この店僕も初めてなのでなんでこんな店を予約したんだあの店にいけば安心して任せられるこの料理でいいこちらの方、ワインに詳しいので選んでもらって こんな発言は「もてなしベタ」 接待の席で、こんな発言をしたことのある人は、立派な…

沈黙の春 レイチェル・カーソン 池上彰厳選の1冊 

私たちはだまされているのだその行く先は禍いであり破滅だ 世界史に大きな影響を与えた1冊 池上彰が厳選した「世界を変えた10冊の本」から、環境問題の古典的名著でもある、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を取り上げました。私たち人間の思い上がりが…

古事記・日本書記 ドラマティックな物語 

世界で最も古い国、日本そのルーツが古事記にあっていまの私たちと繋がっている 自国の起源を知る 世界で最も古い国、日本。そのルーツがこの古事記や日本書記にあって、現代の私たちとも繋がっている。よくもまあ、こんなかけがえのないものを遺してくれた…

阿弥陀堂だより 南木佳士

そう、こういう小説を読みたかったんです 普段、この手の小説はあまり手に取らないのですが、読メで取り上げられていたので軽い気持ちで読んでみました。しかし、これが予想外に素晴らしく、久しぶりに良い作品に出会えました。お医者さんが書いた小説です。…

ガガーリンと神と宇宙飛行犬ライカ

1959年のルーマニアの切手。宇宙船スプートニク2号で飛び立った、史上初の宇宙飛行犬ライカ。 宇宙飛行犬ライカ 1957年11月、ライカという名前の宇宙飛行士ならぬ宇宙飛行犬が宇宙に飛び立ち、地球を周回しました。ライカは2歳ぐらいの若い犬で、当時はま…

ぼくらの頭脳の鍛え方 立花隆 佐藤優

「知の巨人」と「知の怪物」が空前絶後のブックガイドを作り上げた 必読の教養書400冊 今、何をどう読むべきか? どう考えるべきか? 「知の巨人」立花隆と「知の怪物」佐藤優が空前絶後のブックリストを作り上げた。自分の書棚から百冊ずつ、本屋さんの文庫…

百人一首 歴史的仮名遣い 

昔のかなづかい「歴史的仮名遣い」 昔は今とかなの読み方がちがいました。代表的なルールと例を紹介します。 ①語の頭以外の「はひふへほ」は「わいうえお」と読む。かは → かわこひ → こいいふ → いうにほい → におい ②「ゐ」は「い」、「ゑ」は「え」、「を…

菜の花の沖(二) 司馬遼太郎 嘉兵衛、船を持つ

あらすじ 江戸時代後期、日露関係のはざまで奇数な運命をたどった高田屋嘉兵衛の生涯を克明に描いた雄大なロマン。(全六冊) 海産物の宝庫である蝦夷地からの商品の需要はかぎりなくあった。そこへは千石積の巨船が日本海の荒波を蹴たてて往き来している。…

ヴェニスの商人 シェイクスピア

『ヴェニスの商人』あらすじ ヴェニスの若き商人アントーニオは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金をしてしまう。ところが、彼の商船は嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当て…

河童・或阿呆の一生 芥川龍之介

(Wikipedia) 芥川龍之介 本名同じ。1892年(明治25年)東京生まれ。東大在学中、23歳の時に『羅生門』で文壇デビューし、夏目漱石門下となる。現実を巧みな技法で描き、菊地寛らとともに「新技巧派」と呼ばれた。その後『地獄変』『蜘蛛の糸』などの傑作を次…

モモ ミヒャエル・エンデ 時間の哲学です

モモ (岩波少年文庫(127)) 作者: ミヒャエル・エンデ,大島かおり 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2005/06/16 メディア: 新書 購入: 41人 クリック: 434回 この商品を含むブログ (297件) を見る あらすじ 町はずれの円形劇場あとに、まよいこんだ不思議な…

ビンボー魂 風間トオル 時々、神様に出会った 

貧乏だから辛いのではなく空腹だから辛いのです 風間トオル 1962年神奈川県生まれ。東京デザイン専門学校卒業。メンズノンノ、メンズクラブ等のモデルを経て、俳優へ。映画『わが愛の譜 滝廉太郎物語』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞。 5歳のときに…

「バベルの塔」展 東京都美術館 

神が人間の言葉を混乱させる 人が「天まで届く塔のある町を建てよう」と考えたのは 、煉瓦を焼くという新技術、そして漆喰よりずっと粘着力のあるアスファルトという新素材を発見したからでした。ところが、人間の計画を知った神は「降って行って、直ちに彼…

特別展「茶の湯」 東京国立博物館 

本展示会は、おもに室町時代から近代まで「茶の湯」の美術の変遷を大規模に展観するものです。「茶の湯」をテーマに名品が一堂に会する展覧会は、昭和55年(1980)に東京国立博物館で開催された「茶の美術」展以来、37年ぶりだそうです。 各時代を象徴する名品…

檸檬 梶井基次郎 無名のまま31歳で生涯を終える 

無名のまま31歳で生涯を終えたがのちに「檸檬」が高評価を受けその名が知られる 梶井基次郎(かじいもとじろう) 明治34年(1901)、大阪に生まれる。京都大学卒業。この頃より結核、神経衰弱を発症し、以後病魔に苦しみつつも放蕩生活を続け、夏目漱石などに…

山月記 中島敦 わずか8か月の輝き 

(Wikipedia引用) わずか8か月の輝き文学史に流れて消えた彗星 今回は、芥川賞候補となり『山月記』『李陵』などの名作を生んだことで昭和の文芸史に名を残した中島敦(なかじまあつし)についてです。作品は、漢文的な書き方で注釈が多く、取っつきにくそ…

変身 カフカ 不思議な海外文学最高傑作

あらすじ ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男、グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか...謎は究明されないまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実の…

罪と罰 旧約聖書

いきなりですが聖書は、新約聖書と旧約聖書のどちらが面白いのか? どちらも読むのに時間が相当かかるし、簡単ではありません。結局はどちらも必要なんでしょうけども、流れを掴んでポイントを押さえる程度に留めておきます。まずは重いテーマですが、人類誕…

人間万事塞翁が丙午 青島幸男 

人間万事塞翁が丙午 (新潮文庫) 作者: 青島幸男 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1984/08 メディア: 文庫 クリック: 6回 この商品を含むブログ (2件) を見る 青島幸男の直木賞受賞作品 「人間万事塞翁が丙午」は青島幸男の小説で、著者の母をモデルとしてい…

菜の花の沖(一) 司馬遼太郎

あらすじ 江戸後期、淡路島の貧家に生まれた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとの…

ユリイカ 特集 米原万里

また米原万里かと言われそうですが。2009年に発行されたユリイカ1月号が、ほぼ全ページに渡りロシア語通訳そして作家の米原万里が特集されています。この1冊は古本屋で見つけたもので、ほぼ定価に近い値段。もう少ししたらプレミアがつくかも。 この特集号…

金閣寺 三島由紀夫

金閣寺 (新潮文庫) | 三島 由紀夫 |本 | 通販 | Amazon 『金閣寺』は三島由紀夫の代表作でもあり、昭和31年度の読売文学賞を受賞した作品。冒頭は次のように始まります。 幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。私の生まれたのは、舞鶴から東北の、日…

立花隆の書棚 知の巨人の20万冊

立花隆の書棚 作者: 立花隆,薈田純一 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/03/08 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (15件) を見る 知の巨人、立花隆驚異の蔵書を書棚ごと撮影して紹介。20万冊にも達する、どんな本がどのように…

百人一首 藤原定家 

百人一首の誕生 「百人一首」は、藤原定家がまとめた小さな歌集だ。定家(さだいえ)は優れた歌人で、尊敬を込めて定家(ていか)と呼ばれるようになる。 定家の日記によると、「百人一首」が完成したのは、1235年5月27日、鎌倉時代の初め。定家は、飛鳥時代…

源氏物語 世界最古の小説を読んでみよう

源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 作者: 角川書店 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2001/11 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 25回 この商品を含むブログ (19件) を見る なぜ、紫式部は読み継がれているのか 世界最古の小説『源…

縁起のいい客 吉村 昭 

縁起のいい客 (文春文庫 (よ1-44)) 作者: 吉村昭 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2006/01/10 メディア: 文庫 クリック: 1回 この商品を含むブログ (6件) を見る 「脚」で書く作家 吉村ファンにはうれしい一冊でしょう。エッセイ集ですが、先日テレビでや…

ヤマザキマリの「男性論」 ECCE HOMO

男性論 ECCE HOMO 作者: ヤマザキマリ 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/02/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 古代ローマ、あるいはルネサンス。エネルギッシュな時代には、いつも好奇心あふれる熱き男がいた! ハドリアヌス、プリ…

偶然って、神様の別名なのよ

偶然って、神様の別名なのよ ロシア語の通訳者で作家の米原万里の著書、『偉くない「私」が一番自由』に出てくるフレーズのひとつ。モスクワで出会ったペルシャ猫を日本へ連れてくるという奮闘記の中で使われたもので、とても印象的だった。 双子のペルシャ…

奔馬 豊饒の海(二) 三島由紀夫

奔馬―豊饒の海・第二巻 (新潮文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2002/12 メディア: ペーパーバック 購入: 6人 クリック: 74回 この商品を含むブログ (137件) を見る あらすじ 今や控訴院判事となった本多繁邦の前に、松枝清顕の生まれ…

映画「イミテーション・ゲーム」 アラン・チューリング

コンピュータ科学の祖として知られる科学者アラン・チューリングは長距離走が得意で、マラソンも速かった 映画化にもなった波瀾万丈の人生 彼がいなければ今日のコンピュータは存在していなかったかもしれない。コンピュータの概念を初めて理論化し、エニグ…

雪国 川端康成 もうひとつの読み方

雪国 (新潮文庫 (か-1-1)) 作者: 川端康成 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/05 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 118回 この商品を含むブログ (198件) を見る 『雪国』あらすじ 親譲りの財産で、無為徒食の生活をしている島村は、雪深い温泉町で芸…