映画『ある天文学者の恋文』
世界に配信された、著名な天文学者の訃報。だが、恋人のもとには彼からのメッセージが届き続ける。天文学者が仕掛けた永遠の愛とは?
壮大でロマンに満ちたテーマ
一人の天文学者が恋人に遺した ”謎” をめぐる物語。数十億年前に死してなお、地球に光を届ける星々のように命尽きても、我々の愛は大切な人たちの行く先を照らし続けることができるのか。そんな壮大でロマンに満ちたテーマを、イタリアの名匠トルナトーレが描きあげる。
エンニオ・モリコーネの旋律にのせて
天文学者のエドには英国が誇るアカデミー賞俳優ジェレミー・アイアンズ。彼の恋人エイミーには『007 慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコ。アカデミー賞作曲家のエンニオ・モリコーネの心のひだに触れる優美な旋律にのせて描かれるのは、次第に明かされていくエドの本当の想いとエイミーの過去の秘密。天文学者が仕掛けた”謎”がすべて解き明かされるとき、極上のミステリーは美しくも切ない”永遠の愛”の物語へと輝きを変えていく。
お客の大声に水を差されて
ニュー・シネマ・パラダイスのジュゼッペ・トルナトーレ監督に、エンニオ・モリコーネの組み合わせなので期待値が上がります。これでもかというほどの映画予告も終わり、さあこれから本編というときカップルの話し声が ... そばにいたお父さんが大きい声で ”しゃべるな”と一喝。そのひと声で館内に緊張感が走る。なんか、水を差されてしまったような気分です。
さて、映画の冒頭から熱い抱擁で始まり、その直後に天文学者のエドが失踪。そこから頻繁に iPhoneでのやり取りが続く。エドと恋人とのメールでのやりとり、後半はビデオメールと、恋人のエイミーはほとんど一人芝居。現代の通信システムをフルに活用した恋愛ミステリー?なのでした。歳の差がある天文学者エドと恋人エイミー。メールは来るのに既に亡くなっていると聞かされるが、その後も星の光のように過去から愛が届く ...
しかし、映画の途中に出てきた、もの言いたげな犬や、まとわりつく枯葉、寄ってくる鳥など、これらに何か特別な意味はあったのか? 不可解ですね。 そして、せっかくのエンニオ・モリコーネの音楽も、あまり生かされていないような印象。期待値が高かっただけにやや物足りない。やっぱり水を差されたのかな?