きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里

 

スターリン時代の
想像を絶する過酷な
歴史が現れる

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

 


あらすじ

 1960年代のチェコプラハ。父の仕事の都合でこの地のソビエト学校へ通う弘世志摩は四年生。彼女が一番好きだったのは、オリガ・モリソヴナ先生の舞踊の授業。老女なのに引き締まった肉体、ディートリッヒのような旧時代の服装で踊りは飛び切り巧い。先生が大袈裟に褒めたら、要注意。それは罵倒の裏返し。学校中に名を轟かす「反語法」。先生は突然長期に休んだり、妖艶な踊り子の古い写真をみせたり、と志摩の中の”謎”は深まる。
 あれから30数年。オリガ先生は何者なのか? 42歳の翻訳者となった志摩は、ソ連邦が崩壊した翌年、オリガの半生を辿るためモスクワに赴く。伝説の踊子はスターリン時代をどう生きたのか...。驚愕の事実が次々と浮かび、オリガとロシアの、想像を絶する苛酷な歴史が現れる。

 

唯一の長編小説

 Amazonのカスタマーレビューでは5つ星のうち4.8の高評価だった。きっと米原万里のコアなファンが多いのだろう。本書は唯一の長編小説になる。エッセイも面白いが小説も素晴らしい(反語法ではない)。なお、内容についてはまた別の機会にでも触れたい。

 

強制収容所から
聞こえてきた
アンナ・カレーニナ
不思議なことが起こった