『源氏物語』 世界最古の小説を読んでみよう

 

源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

 

千年以上も読み継がれてきた小説

 世界最古の小説『源氏物語』。この歴史的傑作を書いたのが紫式部です。しかも千年以上前に書かれた『源氏物語』は、世界中の文学者からも高く評価されています。
 平安時代に誕生して以来、千年以上も読み継がれてきたなんて、何だかロマンを感じてしまいますね。
 オックスフォード大学ケンブリッジ大学歴史学者が選出した「この千年間で偉大な業績を残した歴史上の30人」にもナポレオンやダヴィンチ、エジソンといったそうそうたる面々のなか、ただ一人選ばれた日本人、それが紫式部でした。
 なぜ、紫式部によるこの作品が国の内外を問わず読み継がれているのか、回を分けて探ってみます。

世界30か国以上で翻訳される

 紫式部の手によって『源氏物語』が書きはじめられたのは1001年(長保3年)頃のこと。そこから幾年もの歳月をかけて完成したのは、全54帖、登場人物400名以上、物語上で流れる月日は70余年という、一大長編小説でした。原稿用紙1,800枚にも相当する量です。長いあいだ国内だけで読み継がれてきましたが、1925年にアーサー・ウェイリーによって『The Tale of Genji 』として英訳され、イギリス、アメリカで発表されました。ニューヨークタイムズやロンドンタイムズでも絶賛され、以来『源氏物語』の翻訳は世界30~40か国で出版されています。

 

日本オリジナルの文化

 『源氏物語』が海外で人気がある理由は、日本オリジナルの文化を伝えた点にあります。平安時代奈良時代につづき、朝廷を中心とした貴族が世の中を支配していましたが、政治システムや文化が大きく変わった時期でもあったのです。そのきっかけは、遣唐使の廃止。それまで国家モデルとしていた中国の王朝、唐に使者を派遣することをやめたのでした。

 

平和で華やかな時代の物語

 ここから紫式部が活躍する約100年後までの間に、日本の文化が大きく花開きました。キュロットスカートのような装束に身を包み、髪を結っていた貴族の女性たちは、十二単(じゅうにひとえ)をまとい、長い黒髪で美を競うようになります。漢字をくずした「かな文字」が誕生し、恋人たちは漢詩ではなく和歌を贈り合いました。現代の女子高生のような感覚でしょうか。十二単の色目のかさねルールブックもあったほどで、自分の気持ちを和歌にたくしてあらわすことが、なによりの教養とされました。これは国内に大きな戦もなく、外国からの侵略におびえることもない、平和でのんびりとした時代だったからこその文化の発展だったのです。

(JAPAN CLASS引用)