モモ ミヒャエル・エンデ 時間の哲学です

 

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

 

 

あらすじ

町はずれの円形劇場あとに、まよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ「時間どろぼう」の男たちの魔の手がが忍び寄ります。「時間」とは何かを問う、哲学的なエンデの名作です。

 

モモの特技は人の話を聞くこと

何か解決策を考えられるわけではないけれど、不思議なことにモモと話しているうちに本人が自分でどうすればいいのか気づくんです。
ずっとケンカしていた男たちの原因を長い時間かけて聞きだし、仲直りさせたこともありました。いつか人々は困ったことがあれば「モモのところに行ってごらん」と言うようになりました。

ある日、時間貯蓄銀行の灰色の男たちが街にやってきて、人々の時間を盗み始めます。みんな時間に追われるようになり、心もギスギスするようになりました。
モモは、今まで遊びにきていた友達たちがやってこないことで、街の異変に気付きます。モモと親友たちは、世の中がおかしいことを大人たちに知らせますが、誰も聞いてくれません。

最後は、時間どろぼうの灰色の男たちと闘うのですが、ここからかなりスリリングな展開になっていきます。ちょうどその頃、モモの前に救世主となる、カシオペアというカメが現れます。カシオペアには30分先の未来がわかる能力があり、ここという時にモモを助けてくれるのです。

 

時間とは何でしょう

この本は児童文学なんですが、時間に追われて現代を生きている大人にこそ、お薦めです。これがとても深いんです。
人間たちに「時間」を倹約させることで、時間を奪う「時間どろぼう」。時間を倹約すればするほど、人々からゆとりある生活が奪われていきます。彼らの姿を現代の私たちに重ねあわせてしまいます。

大人は子どもによく、時間を大切にしなさいって、言ったりするけど、時間を節約して得られるものはなんだろう。そこがよく分からなかったりして。一生懸命に仕事をして、少しでも多く時間をかけて勉強して試験に合格したり。
ところが、今度は自分の時間が失われると、人間は病んでしまう。仕事が忙しすぎてストレスをためたり、育児が辛くなってしまったり。

どれだけ時間を費やしたかによって、自分の中で何か向上するのは確かかもしれません。でも大切なのは、その時間を自分で操っているかどうかにあります。

自分自身の時間の使い方を他人に強制されることは、ただ時間というものを犠牲にして、心の豊かさまで失っていくということなんじゃないでしょうか。

「時間とは、生きるということ、そのもの」です。
現代の時間どろぼうに自分の時間を奪われていませんか。