きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

百人一首 「歴史的仮名遣い」


昔のかなづかい
歴史的仮名遣い」

昔は今とかなの読み方がちがいました。
代表的なルールと例を紹介します。

 

① 語の頭以外の「はひふへほ」は「わいうえお」と読む。
かは → かわ
こひ → こい
いふ → いう
にほい → におい

②「ゐ」は「い」、「ゑ」は「え」、「を」は「お」と読む。
くれなゐ → くれない
こゑ → こえ
をとめ → おとめ

③「ぢ」は「じ」、「づ」は「ず」、「む」は「ん」と読む。
かぢ → かじ
みづ → みず
散るらむ → 散るらん

④ その他
あふさか → おうさか
けふ → きょう
てふてふ → ちょうちょう

 

てふ わが名はまだき 立ちにけり
こひ→こい てふ→ちょう
人知れずこそ 思そめしか 壬生忠見
        ひ→い

 

恋をしているという私のうわさは早くも世間に広まってしまいました。だれにも知られないように、心の中で思いはじめたばかりなのに、という意味です。

恋すてふ
恋をしているという。「てふ」は「といふ」が短くなった形。

わが名はまだき
私のうわさは早くも。

人知れずこそ
人に知られないように。

思ひそめしか
恋しはじめたのに。「しか」は「~なのに」という意味。

 

うわさが広まってしまった芽生えたばかりの恋心

 『天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ) 』で平兼盛と対決したときに詠(よ)まれたものです。兼盛が想像で詠んだのに対して、壬生忠見(みぶのただみ)の歌は実際の体験を歌にしたものだといわれています。だれにも知られないようにかくしていた恋心が、周りに知られてしまったとまどいが素直に表現され、純粋さが伝わります。
 摂津国兵庫県)の下級役人だった忠見は、歌合のためにはるばる都にやって来ました。歌合に出るのは名誉なことで、勝負に負けた忠見は食欲がなくなり亡くなったともいわれています。

 

西東社百人一首大辞典引用)