「土用の丑の日」と万葉集 起源は1200年前

 

夏バテに鰻を食べる、は1200年前から

 「土用の丑の日に鰻を食べる」が習慣になったのは、江戸時代に平賀源内がひろめたとして知られています。しかし、源内はゆえなく夏にうなぎを食べようと言い出したわけではありません。もともと「夏バテには鰻でスタミナをつけよう」という風習があったのを、夏に売れない鰻を夏にも売れるようにと頼まれたため、「土用の丑の日」を鰻の日として利用したというお話し。平賀源内は今でいう、マーケティングの達人だったんですね。実は夏バテに鰻を食べるという文化の歴史は古く、1200年前の万葉集にすでに登場しています。縄文時代の遺跡「浦尻貝塚」から、魚の骨や貝殻などと一緒にウナギの骨も見つかっているということなので、実際はもっと古くから身近な食べものだったようです。

 

大伴家持万葉集 NHK短歌 2013年8月号より

石麻呂に我れ物申す夏痩せによしといふものぞ鰻とり喫せ
痩す痩す生けらばあらむをはたやはた鰻を捕ると川に流るな

 『万葉集』巻十六には「戯笑歌」つまり人をからかって詠んだ歌が多く収められていますが、大伴家持の二首は、そのなかの「痩人(やせひと)を嗤笑(わら)ふ歌」です。

  やせっぽちの石麻呂さんに詠みかけます。「石麻呂殿に申し上げます。夏痩せに効果てきめんということですぞ、鰻を捕って召し上がりなされ」。少ししゃっちょこばった言い方に、家持のいたずら心がうかがえます。石麻呂さんのほうもたぶん、からかわれていると知りながら、「鰻ねえ」なんて思ったりする。そこをすかさず「痩せに痩せているとはいえ、生きていけるなら儲けもの。はてさて、鰻を捕ろうとして川に流されなさるな」と、先ほど言ったことの揚げ足を取るように詠んでいます。

  「痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた」とはじつに調子がよく、しかもなんと念入りにからかっていることでしょう。いまのお笑いコンビでいえば、家持がツッコミの役割で、石麻呂がボケの役割。ゆっくりの石麻呂さんに早口の家持がツッコミを入れる。そんな場面ではないかしら。

 

今年の「土用の丑の日」は2回

 2017年は2回あります。7月25日(火)と 8月6日(日)です。ちなみに1回目を「一の丑」、2回目を「二の丑」といいます。ところで、この「土用の丑の日」は夏だけでなく、春夏秋冬それぞれにあるんです。以下は今年のものでが、これで鰻を食べる機会が増えそう !?

冬 1月26日(木)
春 4月20日(木)、5月2日(火)
夏 7月25日(火)、8月6日(日)
秋 10月29日(日)

 

NHK 短歌 2013年 08月号 [雑誌]

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