アルチンボルト展 国立西洋美術館(東京・上野)
アルチンボルトの顔芸は
計算ずくの奇妙さ
雨の降る平日にもかかわらず、国立西洋美術館は大勢の人。入場者が30万人を超えたそう。江戸末期の葛飾北斎や歌川国芳のだまし絵を思い浮かべるが、表現の自由を求め、風刺したものに対し、こちらは宮廷画家として知識階級に好かれたというのが面白い。
ハプスブルク家の宮廷画家として
宗教画や肖像画に特筆する才はなかったが、博物学的な知識を駆使し、独自の肖像画を編み出した。緻密に描いた動植物などパズルのように組み合わせて人の顔を構成する。一度見たら忘れられないその奇抜な絵画が、当時の知識階級に面白がられ、ハプスブルク家に宮廷画家として重用された。
ジュゼッペ・アルチンボルト(1527〜93年)
イタリア出身。野菜や魚、書物などを組み合わせた肖像画で知られる奇想の画家。16世紀後半のヨーロッパでハプスブルク家の宮廷画家として活躍した。世界各地の美術館が所蔵するアルチンボルトの油彩十数点や素描を中心に、関連する作品も含め約100点を展示。