『時代の風音』 堀田善衛・司馬遼太郎・宮崎駿

 

20世紀とはどんな時代だったのか
21世紀をいかに生きるべきか

 

時代の風音 (朝日文芸文庫)

時代の風音 (朝日文芸文庫)

 

 

堀田善衛(ほったよしえ)
1918年富山県生まれ。慶應義塾大学卒。「広場の孤独」「漢奸」ほかで芥川賞受賞。98年逝去。おもな作品に『方丈記私記』『ゴヤ』『ミシェル城館の人』など。

 

司馬遼太郎(しばりょうたろう)
1923年大阪府生まれ。大阪外国語大学卒。「梟の城」で直木賞受賞。93年文化勲章受章。96年逝去。おもな作品に『国盗り物語』『世に棲む日日』『街道をゆく』シリーズなど。

 

宮崎駿(みやざきはやお)
1941年東京都生まれ。学習院大学卒。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』などで多数の映画賞を受賞。88年芸術選奨文部大臣賞、89年都民文化栄誉賞など。おもな作品に『魔女の宅急便』『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』など。

 

 

『時代の風音』あらすじ

 20世紀とはどんな時代だったのか。21世紀を「地球人」としていかに生きるべきか。歴史の潮流の中から「国家」「宗教」、そして「日本人」がどう育ち、どこへ行こうとしているのかを読み解く。それぞれに世界的視野を持ちつつ日本を見つめ続けた三人が語る「未来への教科書」

 

目次

1  二十世紀とは
2  国歌はどこへ行く
イスラムの姿
4  アニメーションの世界
5  宗教の幹
6  日本人のありよう
7  食べ物の文化
8  地球人への処方箋

 

 

宮崎駿の熱烈な思いによって実現した、3人の対談集

 心情的左翼だった自分が、経済繁栄と社会主義国の没落で自動的に転向し、続出する理想のない現実主義の仲間にだけはなりたくありませんでした。自分がどこにいるのか、今この世界でどう選択して生きていくべきか、おふたりなら教えていただけると思いました。
 忘れられないのは、「人間は度しがたい」と司馬さんがおっしゃった瞬間でした。堀田さんが坐りなおしつつ、「そうだ、人間は度しがたい」と答えたのです。
 私事で申し訳ありませんが、死んだ母のことを思い出していました。「人間はしかたのないものだ」というのが彼女の口癖で、若い私と何度も激しくやりとりしたのです。戦後の文化人の変節について彼女が語るとき、不振のトゲは何かいたたまれないものがありました。
 茫然としながらも、おふたりの言葉は私の気を軽くしてくれました。澄んだニヒリズムというと、誤解をまねくでしょうが、安っぽいそれは人を腐らせ、リアリズムに裏づけられたそれは、人間を否定することとはちがうようです。もっと長いスタンスで、もっと遠くを見る目差しが欲しいとつくづく思います。