きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

『星の王子さま』 サン=テグジュペリ

 

サハラ砂漠に不時着した孤独な飛行士と、「ほんとうのこと」しか知りたがらない純粋な星の王子さまとのふれあいを描いた永遠の名作です

 

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 

 

絆が生まれて

 小さな星の王子さまが訪問する6つの星の、権力欲が強い王様や、うぬぼれ男、すべてを忘れたがっている酒飲みなどいろいろな住人たちと出会い、7番目に地球にやって来ました。さぞ素晴らしい国が地球かと思いきや、現実はそれまで訪問した6つの星にいた人種が大量にいる場所でした。そこへキツネが登場します。王子さまはまず、キツネと仲良くなり、絆が生まれていきます。キツネは王子さまにとって唯一無二の存在に。

 

大切なものは目に見えない

 王子さまはキツネと接することで、決まった時間に餌をあげるなどの繰り返しが起き、キツネに対しての習慣や責任を学びます。飼うという行為には必ず面倒をみるという責任がともなう。そしてキツネは、人と人の絆のように「大切なものは目に見えない」など重要な教訓を王子さまに与えます。そして王子さまはいろいろな出会いから、人のために尽くし役に立つ仕事は、ほんとうに素敵な仕事だと思うようになるのです。

 

王子さまは自分の星へ

 地球に来て1年目に、王子さまは自分の星へ帰ります。1年目の夜に毒蛇と待ち合わせたのですが、王子さまは噛まれて死んでしまいます。その死によって王子さまは魂となって自分の星へ帰るのです。しかし、毒蛇に噛まれたことも「足首のあたりで何か黄色いものが光っただけだった」という文のみで、断定されていません。砂の上に倒れたはずの王子さまの身体すら翌朝にはないのです。

 

心で見れば見えるよ

 すべてがロマンチックであり、いろいろな解釈が可能になります。そして「大切なものは目に見えない」という教えに繋がるのです。下の挿絵の二番目は、王子さまがいるかいないかの違いだけです。目で見ても、この風景のなかに見えない王子さまは、「心で見れば見えるよ」と伝えたいのでしょうか。

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アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ
(1900~1944年)は、フランスの作家であり、パイロットです。童話作家のイメージが強いのですが、その内容は非常に哲学的で奥行きが深いことで有名です。「星の王子さま」は、全世界で8,000万部も売れた名著中の名著です。ほかに「夜間飛行」「人間の土地」など。名作「星の王子さま」は、岩波書店より1953年に初めて日本に紹介された。また、世界で100以上の言語に訳され、愛読されている。