きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

『本の運命』 井上ひさし

 

本の運命 (文春文庫)

本の運命 (文春文庫)

 

 

あらすじ

 本のおかげで戦争を生き延び、寮の蔵書を売り払い、そして本の重みで家を潰す。ついに13万冊の蔵書で故郷に図書館を作るに至った、井上ひさしの本と共に生きた半生と「井上流本の読み方十箇条」を公開。

 

本は人の運命をも変える

 本とつき合えばつき合うほど、運命的なものを深く感じる。また逆に、本は人の運命も変えると。本好きの父母のもに生まれ育った井上ひさしが本との出会いから、作家になるきっかけや、故郷の山形に図書館をつくるまでが綴られ、また「井上流本の読み方十箇条」も披露されています。

 

井上流の速読法

 「本はゆっくり読みだすと、速く読める」。それは、どんな本でも最初は丁寧に読んでいくんです。最初の10ページくらいはとくに丁寧に、登場人物の名前、関係などをしっかり押さえながら読んでいく。そうすると自然に速くなるんですね。
 最初いいかげんに読んでると、いつまでたってもわからないし、速くはならない。でも、本の基本的なことが頭に入ってくると、もう自然に、えっというぐらいに速くよめるようになるんです。推理小説でも普通の小説でも、それから専門書でもなんでも、この読み方をします。
 とにかく初めはじっくり読む。そうすると、書いてる人の癖もわかってくるんですね。「アッ、この人は結論はおしまいで出すな」といったことがわかる。そうなれば飛ばし読みしても大丈夫ということもわかる。まあ、飛ばさなくてもどんどん速くなるから心配はいりませんが。... なるほど。