きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

映画『デルス・ウザーラ』 黒澤 明

 

デルス・ウザーラ (完全期間限定生産) [DVD]

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あらすじ

 シベリアのウズリ地方に、地質調査のための探検隊が入った。しかし、同地の厳しい自然は隊員たちの予想を遥かに超えていた。彼らはたった独りで猟を営む男、デルス・ウザーラと出会い、その案内で危機を脱する。やがて探検隊の隊長ウラジミールはデルスに深い敬愛の念を抱いていく。アカデミー外国語映画賞受賞

 

黒澤明監督が映画化

 アルセーニエフの探検記「デルス・ウザーラ」は黒澤明監督が映画化した。全編ロシア語で、出演者もロシア人だけ。日本で有名な俳優はひとりも出てこない。なので何の予備知識もなく観たら、クロサワの映画だと思わないかもしれない。
 黒澤明は当初、デルス役に三船敏郎を考えていたという。もし三船がデルス役をやっていたらまた全然違う「ザ・クロサワ」みたいな映画になっていたかもしれない。

 

失意の底にあった黒澤

 ハリウッド映画「トラ・トラ・トラ!」の監督を解任され、次作の「どですかでん」は酷評され、興業も不審。追いつめられた黒澤監督は、1971年に自殺未遂をしている。その後の監督復帰作がこの「デルス・ウザーラ」で、ソビエト政府が「うちが資本を出すから、ソビエトに映画を撮りにこないか」と、失意の底にあった監督に声をかけたのだ。ヤマザキマリ「国境のない生き方」より)