きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

「罪のない者だけが石を投げよ」 ヨハネによる福音書

 

あなたたちの中で
罪を犯したことのない者が
この女に、まず石を投げなさい

 

f:id:muchacafe:20180430111319j:plain

 

「姦通の女」ヨハネによる福音書第8章3〜11節

 聖書の中に、姦通罪で捕らえられた女性をめぐって、主イエスと律法学者たちが対決する場面があります。旧約の律法では、姦通罪は石打ちの死刑にされることになっていました。判断を求められた主イエス「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず石を投げなさい」と言いました。すると年長者から始まって一人また一人と立ち去ってしまい、誰も女に石を投げることができませんでした。

 

 人を裁く権利や資格をもつ者はいない

 この出来事は、この世界には罪を犯したことのないものは一人もなく、自分の正しさを根拠に人を裁く権利や資格をもつ者は、誰もいないことを明らかにしています。さらに一人の人が罪を犯すことになった背景にある社会的責任は、社会のすべての人にあることをも意味しています。キリストはその女性を裁き、排除することより、そこで起こった問題をみんなの問題として受け止めることを求め、その人の立ち直りのために赦しと愛とを与えられたのです。

 

新約聖書 福音書 (岩波文庫)

新約聖書 福音書 (岩波文庫)