『白雪姫』 グリム童話
本当は怖いグリム童話
グリム童話というと、危機に陥った主人公が、最後は助かって幸せになる、という子どもたちが引き込まれる内容というイメージですが、実際のグリム童話はそんなハッピーエンドではなく、非常に残酷かつ厳しい結末だったのです。
グリム兄弟と物語の世界
グリム童話とは、グリム兄弟がドイツ各地の民話を集めて再編した童話集です。今でこそグリム兄弟はおとぎ話のメルヘン作家というイメージがあるかもしれませんが、実は言語学や民俗学の代表的な学者でした。最初は学問的な動機からつくられたのですが、その残酷な内容から何度も編集されて、現在のような子ども向けのおとぎ話になったのです。
子どもに読ませられない『白雪姫』
ある城に白雪姫という美しい姫と、継母の恐ろしい魔女が住んでいました。あるとき魔女が「かがみよかがみ、この世でいちばん美しいのはだれ?」と聞くと、かがみは白雪姫と答えます。自分でないことに怒り狂った魔女は、狩人に白雪姫を殺して肺と肝臓を持ち帰るように命令します。しかし狩人は白雪姫を逃がして猪の子の肺と肝臓を持ち帰ります。
七人の小人が住む小屋に逃げ込んだものの、魔女に知れてしまい、毒りんごを食べされて死んでしまう白雪姫。通りがかった王子は白雪姫をくださいという。運ぶ際に白雪姫ののどから毒りんごのかけらが飛び出し、生き返ったのでした。その後、ふたりは結婚するのですが、結婚式に招かれた母によって、まっ赤に焼けた鉄の靴をはかされ、踊りだし、死ぬまで踊り続けさせられたのでした。
嫉妬や増悪
魔女は継母ではなく実母であり、狩人に持ってこさせた臓器を塩ゆでにして食べた母は、当時キリスト教最大のタブーであった「人食い」をしたことになるのです。そして、白雪姫が生きていることを知った母は、何度も殺人を試みては小人たちに阻まれて失敗するものの、最終的に毒りんごで殺害。通りすがりの王子は実は死体愛好家であり、りんごを吐きだし生き返った白雪姫に焼けた鉄の靴を履かせて、死ぬまで踊り続けさせたのです。つまり、人は嫉妬や増悪によってあり得ないこともするということですね。