きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界

  

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歴史の中のショーメ  
Chaumet Throughout History

 

CHAUMET

1780年フランスで創業。ナポレオン皇帝一族をはじめ、国内外の多くの貴族に愛された名門宝石商。歴史を育んだ華麗な宝飾品の一部は、現在もヴァンドーム広場のショーメ・ミュージアムに所蔵されている。

 

戴冠衣裳の皇帝ナポレオン1世

1799年に政権を獲得した後、ナポレオンは1804年にフランス皇帝の座についた。華々しいフランス王の偉大な伝統に属するこの肖像画(下)は、権力を示すあらゆる象徴に囲まれた、戴冠式の衣装に身を包んだ姿のナポレオンを描いている。王座、月桂冠、レジオン・ドヌール勲章頸飾、王笏(おうしゃく)、正義の手の杖、そしてフランス王に由来するダイヤモンドで飾られた剣。この上なく壮麗なこれらの宝石のセットを担当したのは、ショーメの創業者、マリ=エティエンヌ・ニトである。

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フランソワ・ジェラール 1806年

 

皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラ

教皇ピウス7世のティアラは、1804年12月2日のパリ・ノートルダム大聖堂における戴冠式に出席した教皇に感謝の意を表明するため、皇帝ナポレオンによって依頼された外交的な贈りものである。このティアラをローマへ運んだのは、当時26歳のニトの息子、フランソワ・ルニョーであった。
本展覧会において、ヴァチカンはこのティアラの修復をショーメに委任し、また《ユリウス2世》として知られる特別なエメラルドの上に載せる新たな十字架の制作を任せた。

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1804-1805年(後世に数回修正)

 

「ジョセフィーヌ」リング

メゾンの最初のミューズである皇妃ジョセフィーヌに敬意を表して、ショーメは優雅でエレガンスなスタイルを保ち続けている。宝石の輝きにより、一層洗練されたデザインは、現代的な曲線をもって235年間の歴史を称えている。

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「ロイヒテンベルク」として知られるティアラ

このティアラは、皇妃ジョセフィーヌの後裔(こうえい)にあたるロイヒテンベルク家に由来するもので、8つの部品から成り、計698個のダイヤモンド、32個のエメラルドがかめ込まれている。中央の花には、コロンビアからもたらされた六角形のエメラルドが設置されているが、その重さはほぼ13カラットにも及ぶ。本作は変形の技術とトランブルーズのはめ込み技術という重要な特徴を備えている。

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麦の穂のティアラ

ローマ神話における農耕を司る女神ケレスのアトリビュートであり、繁栄と多産の象徴である麦は、第一帝政期のジュエリーにおいて人気のあったモティーフであった。皇妃ジョセフィーヌは麦の穂のティアラを着用することを好んだが、それらは本作同様に9本の穂をあしらい、ゴールドとシルバーのマウントに66カラット以上のアンティークカット・ダイヤモンドをはめ込んだものであった。

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ジョゼフ・ショーメ《6羽のツバメの連作》
1890年  プラチナ、ゴールド、ダイヤモンド

 

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ニト・エ・フィスに帰属《ナポリ王妃カロリーヌ・ミュラのバンドー・ティアラ》
1810年頃  ゴールド、真珠、ニコロアゲート

 

 *上記の記事は入場の際に配布されたパンフレットより抜粋しています