映画「君の名は。」

 

千年ぶりとなる彗星の来訪を間近に控えた日本
山深い田舎町に暮らす女子高校生、三葉と
東京で暮らす男子高校生、瀧とが
ある日、夢の中で互いが入れ替わる
繰り返される不思議な夢
入れ替わるふたりは特別な繋がりに気付く
しかし、入れ替わりが途切れてしまう
瀧は三葉に会いに行こうとする
そして辿り着いた先には ...

 

古今和歌集小野小町」にストーリーのヒント

知らない者同士が出会い、すれ違って、再会する。「君の名は。」そのストーリーのヒントになったのが、小野小町の和歌〈夢と知りせば覚めざらましを〉と、男女入れ替わりの物語〈とりかへばや〉。映画1本見るくらいのスペクタクルが和歌とか俳句の中にはあったという。

 

思ひつつ寝ればや人の
(夢の中で愛しい人を)

見えつらむ
(見た)

夢と知りせば
(夢と知っていたならば)

覚めざらましを
(もう少し夢を見ていたかった)

 

 

もうひとつの「君の名は」

昭和のおじさん、おばさんにとっての「君の名は」とは、昔のモノクロ映画の方を思い浮かべる人も多いと思う。そう、数寄屋橋でまた会おうと約束し、お互いの名前も知らぬまま別れて... そして主演の岸恵子の「真知子巻き」が流行った。昭和27年にラジオで放送され、翌年には映画も大ヒットする。

さて、今回の新海誠監督の「君の名は。」の方は、まさしく新時代の映画になるわけですが、ベースはいつの時代にも不変な古典の世界を現代にアレンジしたもの。そして制作技術には目を見張る。特に、圧倒される映像美。やたらとドアの開閉シーンがでてくるが、どれも超リアルに描かれている。また、開けた炊飯器の中から見た、三葉の顔。畳すれすれのアングルから見た、ばあちゃんと三葉との会話シーン。畳の目まで忠実に再現されている。そのほかにも彗星の落下シーンや組紐のシーンなど。余談だけど、三葉の妹の、四葉ちゃんのヘアゴムが可愛い。毎回違うのをしていたと思う。

そしてなんといっても、ストーリー描写がとても自然に表現されている。男女の入れ替わりシーンが続くのだが、こんがらかることなく、入れ替わりがよくわかる。声優さんたちがすばらしいんでしょう。また、歴史や伝統、文化など日本人が大切にしている心が丁寧に織り込まれている。昔の「君の名は」と同様、うつろう青春、一瞬だけの純な切なさを表した、世界を青春の輝きで充たす。