きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

「真理はあなたを自由にする」 ヨハネ福音書

 
リベラルアーツは人を自由にする」は、「真理はあなたを自由にする」から来ている

 

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国立国会図書館

 

物事の本質を見抜く目

 激変の時代、先が見えにくい時代においては座標軸が不可欠だ。その軸を与えてくれるものがリベラルアーツになる。また、物事の本質を見抜く目、時代を先取りする大局観を養ってくれる。リベラルアーツの起源は、ギリシャ、ローマでは、肉体労働は奴隷に任せ、自由人は「自由七科」と言われる教養を身につけることが求められた。その7つとは、文法、修辞学、論理学、算術、幾何、天文学、音楽だ。
 リベラルアーツのリベラルには、英語の古語において「豊富な」という意味もあり、アーツには「学問」の意味がある。つまり、豊富な学問イコール教養といえる。

 

人を自由にする学問

 リベラルアーツを学ぶ意味は、短期的な成果を追わず、人間としての成長を目指すということ。リベラルアーツは元来、人を自由(リベラル)にする学問という意味であって、自由人と奴隷とを選別する道具としての教養だった。

 

「問う」と「疑う」
 ここでいう「自由」とは何なのか。もともとの語源は、新約聖書ヨハネ福音書の第8章31-32節にあるイエスの言葉、「真理はあなたを自由にする」から来ている。「真理」とは「真の理(=ことわり)」のことである。時間を経ても、場所が変わっても変わらない、普遍的で永続的な理(=ころわり)が「真理」であり、それを知ることによって人々は、その時その場所だけで支配的な物事を見る枠組みから自由になれる、といっているのだ。目の前の世界において常識として通用して、誰もが疑問を感じることなく信じ切っている前提や枠組みを、一度引いた立場で相対化してみる、つまり「問う」「疑う」ための技術が、リベラルアーツの真髄だということになる。そして、あらゆる知的生産は「問う」「疑う」ことから始まるのだ。

 

新約聖書 福音書 (岩波文庫)

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