きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

『ゲゲゲのゲーテ』 水木しげる

 

ゲーテとの出会い

 水木しげるゲーテとの出会いは、第二次世界大戦が勃発した翌年の1940年にさかのぼる。この年、水木は18歳で、ゲーテに限らず、聖書やニーチェショーペンハウエル、カントなどもむさぼるように読んだという。

 それは、いつか召集され、戦場で死ぬかもしれないという恐怖を克服するためでした。自分の意志に関係なく、出征することが、否応なく決定されるという理不尽をどうやって容認し、先が読めなくなった自身の人生をどのように意味づければいいのか。その答えを見つけるために、最終的にゲーテにたどり着いた。

 

幸福が妨げられ、活動がはばまれ
願望が満たされないのは
ある特定の時代の欠陥ではなく
すべて個々の人間の不幸なのだよ

ゲーテとの対話」下巻より

 

 好きなことができないというのは、不幸ですね。水木さん(水木は自分のことをこう呼ぶ)は、自分の好きなことを仕事にしとったからネ。世の中には幸福な人が少ないと思うね。幸福にはマネーが不可欠だけど、それよりもまず、好きなことができているかどうかが重要なんじゃないですか。

 

ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)

ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)

 
ゲーテとの対話 上 (岩波文庫 赤 409-1)

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