きょうも読書

言葉の迷路を彷徨う

『読書力』 齋藤 孝 音読が速読への近道 

 

読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)

 

 
本を読むことの意味とは何か?「読書によって...  の力がつく」という形で考え、コミュニケーションの力、人間を理解する力との関わりを示す。自分をつくり、鍛え、広げることが読書とどう結びついているかを述べて、あらためて読書の本質を見つめる。

 

文庫百冊・新書五十冊

 読書好きと「読書力がある」は違う。著者が設定する「読書力がある」ラインとは「文庫百冊・新書五十冊を読んだ」というものだ。文庫本は推理小説や完全な娯楽本を除いたもので、イメージとしては「新潮文庫の百冊」のようなもの。一方、新書は学問の入門書として最適だ。また、本を読んだというのは、まず「要約が言える」ということであると。

 

「一人になる」時間の楽しさを知る

 一人の静かな時間は、人を育てる。読書好きの人はこの一人で読書する時間の豊かさを知っている。本ならば、現在生きていない人でも、優れた人との話を聞くことができる。優れた人との出会いが向上心を刺激し、人間性を高める。

 

音読の技化

 声に出して読むと、意外と言い間違いが多いし、すらすらと日本語を読み上げることがむずかしい。速読を身に着けるプロセスでは、音読から黙読へ当然移行する。口を動かしているようでは速く読むことはできない。しかし、上達のプロセスとしては、音読が先になる方が合理的だ。すらすらと音読できるようになると、自然に目をどんどん先に送ることに慣れてくる。音読のレベルと読書力のレベルは関係が深い。的確に速いテンポで滑舌よく読み上げる練習は脳を活性化し、黙読によって大量の本をこなす読書力の基礎をつくる。